13日午後4時頃、福岡県筑後市九州新幹線・久留米〜筑後船小屋間の下り線で、架線に黒いビニールが引っかかっているのを新大阪発鹿児島中央行き「さくら557号」の運転士が見つけた。同列車は乗客約280人を乗せたまま現場に停止した後、自力で動けなくなった。この影響で午後10時22分に上り線が運転再開するまで、全線(博多〜鹿児島中央間)で運転を見合わせ、45本が運休した。九州新幹線が昨年3月12日の全線開業後、約6時間も止まったのは初めて。

 JR九州によると、ビニール(長さ約3メートル、幅約2メートル)は農業用とみられ、筑後船小屋駅の手前約3キロの地点で見つかった。作業員が午後6時13分頃に取り除いたが、自力走行ができなくなっていた。安全確保のため、停車時にパンタグラフを架線から離し、車載バッテリーで空調や照明などの電気を賄ったが、このバッテリーが上がってしまい、パンタグラフを元の位置に戻せなくなったという。

 このため、博多発鹿児島中央行きの後続列車「さくら421号」を現場まで走らせ、車体を連結。故障車両を押す形で同10時34分、筑後船小屋駅に移動した。乗客のうち約250人が同列車に移り、14日午前0時4分に出発。約30人は下車し、数人が体調不良を訴えた。同列車は同1時21分、鹿児島中央駅に着いた。

(2012年3月14日 読売新聞)