第6管区海上保安本部のヘリ墜落

担当海域なので、送電線の存在は知っていたと思うのですが、何があったのでしょうか。

18日15時10分ごろ、香川県多度津町の佐柳島沖の瀬戸内海に、第6管区海上保安本部広島航空基地のヘリコプター「あきづる」(ベル412EP型)が墜落した。6管は同島と隣の島を結ぶ送電線に接触したとみている。ヘリの乗員5人のうち4人が海底から引き揚げられたが、搬送先の病院でいずれも死亡が確認された。残る1人の捜索が続けられている。
ヘリは同日13時45分ごろ、定期パトロールのため広島空港を離陸。岡山県水島沖から高松市沖を経由して16時ごろに戻る予定で、15時1分には基地と交信した。しかしその直後に、住民から「ヘリコプターが送電線に当たり墜落した」との通報が6管に入り、事故が判明した。
その後、6管が現場付近の海域を捜索し、乗員4人と機体を水深約11mの海底で見つけた。機体の左側の損傷が特に激しいという。機体は19日午後に引き揚げる予定。
四国電力や6管などによると、ヘリが接触したとみられるのは、佐柳島と東に隣接する小島を結んでいる送電線。直径約1.3cmで長さ約1.2kmあり、海面から最も低い所で高さ約50mに張られていた。3本が並行しているが、いずれも切断されていた。
6管は事故原因について、通常は送電線付近のような低い高度で飛ぶことはないとしたうえで、「何かを確認しようとしたのではないか」と話している。出発の前後には機体を点検しており、17日にもエンジンなどの大がかりな検査をしたが、異常はなかったという。
ヘリが墜落する瞬間は、佐柳島の島民や船の乗組員が目撃していた。目撃者の話によると、ヘリのテールローター付近が送電線に引っかかり、機体を回転させて海に落ちていったという。三洋汽船のフェリーは墜落した場所から約100m離れた海上を航行しており、乗組員らは「一瞬の出来事でびっくりした」などと証言している。
事故当時の天候は、風も弱く、視界は良好だったという。
国の運輸安全委員会は18日、航空事故調査官3人を現地に派遣した。
(2010年8月18日=asahi.com

<2010年8月20日追記>

香川県多度津町沖の瀬戸内海に第6管区海上保安本部のヘリコプター「あきづる」が18日に墜落した事故で、同日の飛行が当初から、水島海上保安部主催の体験航海に合わせたデモンストレーション飛行として計画されていたことがわかった。6管は当初、体験航海のことを明らかにせずに「パトロール」とだけ説明していたが、主な目的はデモ飛行だったとみられる。
6管関係者らによると、体験航海は司法修習生を対象に水島海保が計画。広島航空基地側は18日にデモ飛行を実施することにし、同時に事故現場付近の定期パトロール飛行も合わせてすることにした。
当日の体験航海は水島海保の巡視艇「みずなみ」が司法修習生を乗せて18日に2回実施。1回目は14時〜14時50分に行われた。13時45分に広島航空基地を離陸した「あきづる」は、14時20分ごろ、墜落現場から北東17kmの六口島付近の海域にいた「みずなみ」と合流。低空飛行で5分程度、船の上空を往復するなどのデモ飛行をした。
その後、「あきづる」はいったん南西方向へパトロールに向かい、15時〜15時50分までの間に六口島付近で「みずなみ」と再合流して、2回目の体験航海に参加した司法修習生らの前でデモ飛行をする予定だった。
「あきづる」は15時1分、基地に「廃船を調査中」と連絡。墜落直前の15時10分には、「みずなみ」に対し「現在、佐柳島上空」と無線交信し、自らの位置を伝えていた。「あきづる」はその直後、佐柳島と隣の小島の間に張られた送電線に接触し、墜落したとみられる。墜落時、「あきづる」と「みずなみ」は、約17km離れていたという。
6管本部は18日夕に体験航海用にデモ飛行をしていた事実をつかんでいたが、19日夜に初めて公表。それまでは飛行の理由を「パトロール」とだけ説明し、「巡視艇と哨戒活動する予定だった」などと虚偽の情報も伝えていた。
(2010年8月20日asahi.com