厚木にP-1配備へ

防衛省は15日、海上自衛隊P-3C哨戒機の後継として開発中の次期固定翼哨戒機(P-1)4機を2011年度末から、全国で初めて海上自衛隊厚木基地に配備する計画を明らかにした。併せて基地内に関連施設を整備する。同省南関東防衛局が同日、両市に通知した。
プロペラ機のP-3Cとは異なり、P-1はジェットエンジン4基を搭載している。国がジェット機の使用制限を定めた「46文書」の扱いが、今後の課題となりそうだ。配備計画の通知を受けた両市は騒音被害が増大することなどを懸念し、反発している。
防衛省によると、配備されるのは性能評価のために2008年9月から同基地に順次乗り入れている試作機2機と、新たに取得する4機(703億円=2008年度予算契約ベース)のうちの2機。2012年度には残りの2機も同基地に追加配備するという。
また、搭乗員のシミュレーション施設として、滑走路東側の空き地部分に2階建ての「訓練講堂」も整備。2010年度予算案に5億6千万円を盛り込んだ。
ジェット機のP-1をめぐっては、地元から「騒音の激化につながる」との声もあるが、防衛省はこれまで「騒音はP-3Cと同等か静か」と説明していた。
通知を受けた大和市の大木哲市長は「受け入れられない。46文書との関係も含め、地元に十分な説明と対応を求めたい」とコメント。綾瀬市の笠間城治郎市長も「超過密地の基地は移転すべきだ」とし、市が掲げる「基地機能の整理縮小」が遠のくことを危惧した。
P-3Cは潜水艦や不審船の監視などを任務とする海自の主力機。全国に約95機が配備され、厚木には約20機が常駐している。耐用年数がすぎていることなどから、防衛省は国産のP-1への切り替えを決めている。
◆46文書:1971年に当時の横浜防衛施設局長が、大和、綾瀬の両市に通知した。海上自衛隊厚木基地を使用する際の条件などが盛り込んであり「ジェットエンジンを主たる動力とする飛行機は、緊急やむを得ない場合を除き、使用しない」「自衛隊の使用計画を著しく変更する場合は、あらかじめ貴市と協議する」―などと明記してある。
(2010年2月16日=カナロコ