東海道新幹線で架線切断

平日昼間とはいえ、3時間半足らずで運転を再開できたのは、かなりの早業といえるでしょう。

29日13時50分頃、JR東海道新幹線品川〜小田原間で下り線の架線が切れて停電が発生、上下線5本が急停車し、乗客約3,100人が3時間余り閉じ込められた。
17時13分の運転再開まで東京〜新大阪間で上下線56本が運休、190本が最大約4時間20分遅れた。影響人員は約149,000人に上り、2008年12月に新幹線計112本が運休して約138,000人に影響したJR東日本のシステム障害に匹敵するトラブルとなった。
JR東海によると、断線したのは、横浜市神奈川区羽沢町の架線に平行に張られている銅製の「補助吊架線」で、25000Vの電圧がかかっている。
約50m先に13時26分東京発「こだま659号」のパンタグラフの部品が落ちているのが確認され、同社で断線との関連を調べている。
(2010年1月29日=YOMIURI ONLINE

<2010年1月30日追記>
原因は、よく分かっていないようです。

JR東海道新幹線で29日、「補助吊架線」が切れて停電し、約149,000人に影響が出たトラブルで、切断とほぼ同時に現場を通過した新幹線のパンタグラフが、2か所のうち一方しか破損していなかったことが30日、JR東海の調査で判明した。
1985年に張られた補助吊架線の劣化を原因の一つに指摘する声もあがっているが、補助吊架線の切断が直接の引き金になったとすれば、両方のパンタグラフが破損する可能性が高いため、同社では慎重に事故原因を調べている。
同社は、パンタグラフが損傷した東京発の「こだま659号」の車両と、切断した補助吊架線を回収し、架線の切断面などの分析を進めている。
同社によると、切断していた補助吊架線は、パンタグラフに電力を送るトロリ線の15cmほど上にある。今回、トロリ線にはほとんど破損がなかったが、もしパンタグラフが先に破損していれば、補助吊架線だけではなく、直接パンタグラフに接しているトロリ線も損傷するとみられ、国土交通省では、補助吊架線に何らかの異常が起きた可能性もあるとみている。
しかし、「こだま659号」(16両編成)では、6両目と12両目の車両上部に設置されているパンタグラフのうち、12両目のパンタグラフは上半分が吹き飛ばされた状態で見つかったが、6両目のものは無傷だった。2か所のパンタグラフは約150mしか離れていないため、270km/h近い走行速度下で、破断した補助吊架線に接触したとすれば両方がほぼ同時に破損すると考えられる。このため同社では、補助吊架線切断の前に12両目のパンタグラフに異常が生じた可能性も捨てきれないとしている。
新幹線の補助吊架線が切断した事故は過去に、2005年8月に宮城県沖で起きた地震の際に、東北新幹線で切断が確認されたほか、1990年8月に東海道新幹線掛川〜静岡駅間で、台風の強風で切断した例があるが、JR東日本などによると、「自然災害以外で補助吊架線が切断したケースは聞いたことがない」という。
(2010年1月30日=YOMIURI ONLINE

<2010年2月1日追記>
ダメじゃん。orz

JR東海は1日、現場を停電直前に通過した東京発名古屋行き「こだま659号」(16両編成)のパンタグラフを1月27日に交換した際に、ボルトを付け忘れた作業ミスが原因だったと発表した。上部の部品が外れ、支えるアーム部分が浮き上がって架線を切断したという。同社のずさんな検査補修体制が浮き彫りになった。
パンタグラフは、トロリー線から受電する擦り板部分の「舟体」(幅1.9m、重さ約12kg)と、舟体を固定するアーム部分の「上枠」(長さ1m、重さ約12kg)で構成。同社が「こだま659号」を調べた結果、12号車のパンタグラフは絶縁部のガイシを除き、すべて吹き飛んでいた。舟体は4本のボルトで上枠に固定するが、見つかった部品には固定した痕跡がなかった。
同社によると、この車両は1月27日の検査で舟体に摩耗が見つかり、東京の大井車両基地で12号車と6号車の舟体を交換。作業は2人で実施し、1人が最終確認をしたが、ボルトの付け忘れには気付かなかった。同社は、舟体が外れて上枠が浮き上がり、線路脇の電柱から架線をつるアームに激突し、トロリー線をつって水平に保つ補助吊架線を切断したと断定した。また、この車両は事故発生前にも29日6時20分東京発新大阪行き、同10時7分新大阪発東京行きの「ひかり」として営業運転していたという。
作業員は「取り付けたと思った」と説明しているが、交換部品を大量に所持していたため、使用した部品の数が分からない状態だった。このため同社は、部品の数量管理を厳正化し、作業記録を改良してチェック体制を強化する。
(2010年2月2日=毎日jp