中原誠中原誠十六世名人、引退を表明

将棋の中原誠十六世名人(61歳)が11日午後、将棋会館で記者会見を行い、3月末をもって引退すると表明した。現役生活は43年で、タイトル獲得は歴代3位の通算64期*1。永世棋聖永世十段永世王位名誉王座の永世5冠を得た。会見では「潮時と思い、決意した。勝負を十分堪能したと思っている」と語った。今後は評論家として将棋の解説や文筆の仕事をするという。
中原十六世名人は昨年8月中旬、対局終了直後に体調不良を訴えて緊急入院した。2月5日に退院したが、脳出血で左手と左足が不自由となった。「元通りにはならないので対局は難しいと判断した。18歳から精いっぱいやったし、これ以上やってぶざまな将棋を指しても、と思い決意した」と述べた。会見には杖をついて現れたが、声量は変わらず、元気そうだった。
最も思い出に残る勝負として昭和47年、24歳のときの、大山康晴十五世名人から初めて名人を奪ったシリーズをあげた。また、「20歳で初タイトルとして棋聖を獲ったころから成績がよく、その後次々とタイトルを取れだして、かなりやれるかなという感触を持ちましたね」と満足げに振り返った。
A級在位29期。平成14年からは名人に直結する順位戦は指さないフリークラスに転向したが、翌15年には竜王戦で挑戦者決定三番勝負にまで駒を進めた。悲願の羽生善治竜王(当時)とのタイトル戦初対決は実現せず、会見でも「唯一悔いが残る」と話した。
(2009年3月11日=iza)

*1:大山康晴十五世名人が80期、羽生善治四冠が72期です。4位は谷川浩司九段の27期。