明知鉄道東野駅に高齢者福祉施設

場所はここです。需要のないところに需要を作ろうという「乗って残そう運動」に比べれば、需要を作ろうとしている分、真っ当な策だと思います。

明知鉄道の東野(ひがしの)駅で、高齢者福祉施設の建設が進んでいる。施設内には駅待合室も設けられ、同鉄道は「高齢者施設と駅とのドッキングは全国初では」。利用客増を狙い、12月25日には11番目の新駅も開設。全国の多くの三セク鉄道が赤字に苦しむ中、同鉄道もあの手この手で収入アップ策に取り組んでいる。
高齢者福祉施設は、無人駅である東野駅の駐車場用地を転用して建設。恵那市内の医療法人恵雄会と契約を結び、同鉄道には賃貸料が入る。
施設は鉄骨造り3階建て、延べ1300m2余。1階に駅待合室のほか通所や宿泊用の「小規模多機能居宅介護施設」を設置。2、3階は高齢者専用賃貸住宅(全25室)が設けられる。
同鉄道は現在、恵那駅阿木駅の施設を歯科医院に、山岡駅事務室を地元のそろばん塾に貸している。寒天やキノコなど沿線の味を味わう「グルメ列車」も人気を集めており、今井祥一朗専務は「地域に密着しながら収入を増やす方策を探りたい」と話す。
年末に飯羽間岩村駅間に設ける新駅は簡易な仕様とし、建設費は2000万円余に抑制。「極楽駅」との名称は近くにあった寺などにちなんで名付けられた。記念切符を発売するが、「『極楽』との駅名は他にないだけに、鉄道ファンの人気を集めるかも」(同鉄道)と期待。恵那〜東野駅間でも新駅の開設を計画中だ。
全国36社の三セク鉄道が加盟する「第三セクター鉄道等協議会」がまとめた2007年度の経営状況によると、赤字は31社で、黒字は5社*1。乗降客の減少に加え、軽油など燃料費の高騰が各社の経営を圧迫している。
中部地方では明知鉄道をはじめ樽見鉄道長良川鉄道信楽高原鉄道天竜浜名湖鉄道が赤字。黒字は愛知環状鉄道伊勢鉄道
明知鉄道は「乗って残そう」を合言葉に乗降客数のアップに取り組んでいる。
2007年度は輸送人員、旅客収入とも前年度を上回り、同社は「若干の明るさが見えてきた状況」としている。
日本総研地域経営戦略グループの小長井主任研究員によると、黒字はJRと接続して利益が上がる路線などで、大部分はもともと旧国鉄の赤字路線を引き継いでいる。「商店街に直結する形で新駅を造った鉄道もあるが、高齢者施設は初めて聞いた」とした上で「利用客増加には三セクの会社だけではなく、地域の観光資源や自治体と連携して面的に広がる取り組みが必要」と話している。
(2008年11月17日=CHUNICHI Web)