不起訴不当〜竹ノ塚踏切事故〜

2005年3月に東武伊勢崎線竹ノ塚駅近くの手動踏切で4人が死傷した事故で、東京地検が業務上過失致死傷の疑いで書類送検された同駅の元駅長(57歳)と元運転課課長補佐(59歳)の2人を不起訴処分としたことについて、東京第一検察審査会は18日までに、「過密ダイヤの中での遮断機の危険な操作を認識していたのに、安全対策を講じなかった。事故が起きるのを予見でき、過失が認められる」などと指摘し、「不起訴不当」と議決した。
事故では安全確認を怠り遮断機を上げたとして、業務上過失致死傷罪に問われた元同駅踏切保安係の実刑判決が確定。一方、同地検が昨年3月、「事故は予見できなかった」として、元駅長ら2人を不起訴にしたのに対し、死亡した高橋俊枝さん(当時75歳)の遺族が審査を申し立てていた。
(2007年1月18日=NIKKEI NET)

<2007年5月2日追記>

東京地検が、業務上過失致死傷の疑いで書類送検された元駅長と当時の本社運転課課長補佐の2人について、改めて嫌疑不十分で不起訴処分としていたことがわかった。遺族側が2日、記者会見して明らかにした。地検は、東京第一検察審査会の「不起訴不当」の議決を受け再捜査していた。
この事故では、作業内規に反して遮断機を上げた元踏切保安係が同罪に問われ、禁固1年6カ月の実刑が確定している。
亡くなった高橋俊枝さん(当時75歳)の遺族の弁護士によると、検察側は処分をした4月25日、不起訴の理由を遺族側に口頭で説明。踏切保安係が長年にわたり、社内規定に反して踏切の鎖錠装置を解除するという「慣行」を、元駅長らも認識していたと認めた。しかし「安全装置を解除した上で、目視や確認もせずに遮断機を上げる(元保安係の)重大な過失までは、予見することは不可能だった」と説明した、という。
(2007年5月2日=asahi.com