東日本大震災で被災し、運休中のJR山田線宮古−釜石間(55.4キロ)について、JR東日本は31日、盛岡市内で開かれた復興調整会議で、鉄道復旧を前提に同区間と南北で接続する第三セクター三陸鉄道岩手県宮古市)で一体運行する案を正式に提示した。

 会議は非公開で、宮古市など沿線4市町や三鉄関係者らが参加した。
 終了後、記者会見したJR東日本によると、JRは宮古−釜石間について地元が強く求めていた鉄路復旧をする案を初めて提示した。その上で「三陸鉄道で南北リアス線と一体運行を行う」ことを求めた。
 JRは復旧後の運営赤字補填(ほてん)や設備改良などを支援することも明らかにした。負担の上限額など具体的内容は、三鉄や地元自治体と今後詰めていく。地元に施設を無償譲渡することも視野に入れている。
 JR東の山口保幸復興企画部担当部長は提案について「直通の運転形態をとることで、三陸沿岸の縦貫鉄道的な地域交通の提供ができる」と運営効率化を理由に挙げた。
 宮古−釜石間の利用状況を表す平均通過人員は10年度693人と、1987年の国鉄民営化当時から約6割減少した。山口部長は「(不採算性は)今回の提案と関係ない」と語った。
 県の中村一郎政策地域部長は「鉄路復旧の考えが示された意味では半歩前進だが、JRの支援内容が決まっておらず、慎重に検討しなければならない」と話した。
 山田線の概算復旧費は210億円で、このうち原状回復費140億円はJRが、沿線自治体の復興まちづくりに伴うかさ上げや移転費70億円は国が負担する見通し。
(=河北新報