東松島市JR東日本は23日、東日本大震災で被災し移設を計画している仙石線陸前大塚〜陸前小野間の復旧に関する覚書を締結した。現ルートと新ルートの用地を両者間で売買し、3年半後をめどに移設を完了させる。
覚書は、JR東日本が所有する現ルート(約6.4km)の一部と、市が取得する新ルート(約3.5km)を互いに有償で譲渡し、移設の際は線路と道路を立体交差化することなどを盛り込んだ。用地の売買価格は両者で調整している。
JR東日本東松島市によると、新ルートは現ルートより500mほど内陸寄りの高台を通る。区間内には東名、野蒜両駅を移設する。詳細なルートを確定させた上で、市が復興交付金を活用した区画整理事業で用地を買収、造成し、JR東日本に譲渡する。
 造成完了までに1年半程度かかるとみられ、JRは線路や駅舎などの工期を2年間と見込んでいる。測量と設計作業は本年度中に着手する。
 現ルートはJRが線路を撤去後、市が買い取る。住民からは遊歩道やサイクリングロードとしての活用を求める意見が出ている。
 覚書締結式は市役所であり、阿部秀保市長は「用地買収は本来JRの役割だが、復興のスピードを考え、市で進めることにした」と話した。里見雅行JR仙台支社長は「早期復旧を望む地元の声に応えられるよう事業を急ぎたい」と述べた。
 仙石線で不通となっているのは高城町宮城県松島町)−陸前小野間。JRは高城町陸前大塚間(約5.3キロ)について、現ルートで復旧を目指す方針を示している。
(2012年4月24日=KOLnet)