長野電鉄屋代線、廃止へ

屋代と須坂を結ぶ、全長24.4kmの路線で、長野電鉄発祥の路線*1でもあります。

多額の赤字を抱える長野電鉄屋代線の存廃について、長野市など沿線自治体や関係者らが議論する「長野電鉄活性化協議会」が2日開かれ、多数決の結果、小差で廃止が決まった。
屋代線は新年度以降に約90年の歴史を終える。長野電鉄廃線は、2002年の木島線(信州中野〜木島)以来。
協議会は昨年11月、事務局の長野市

  1. 引き続き増便などの実証実験を実施
  2. 存続検討のため運行を一時休止し、バスを代替運行
  3. 廃止してバスを代替運行

の3案を提示。委員から「今決めるのは拙速」とする反発が相次いでまとまらず、結論を持ち越していた。
一方、長野市若穂地区などの沿線住民は、実証実験の継続などを求める要望書を提出し、住民集会を開くなどの活動を展開。沿線3市(長野、須坂、千曲)の市議有志による議員連盟も発足し、運行継続を求める声は大きくなった。
この日も、「住民の自己負担も考えたい。結論を出さないでもう少し時間を下さい」(星沢重幸・若穂地区住民自治協議会長)、「万策尽きたわけではない。沿線が必要と言っているものを廃止する権限があるのか」(古平浩・東北大大学院研究員)など結論を延ばすよう求める声もあった。だが、事務局側は、国の総合連携計画の見直し手続きを理由に、この日の採決を求めた。
採決では、協議会長の酒井登・長野市副市長を除く26人が、3案から無記名投票。その結果、「廃止」が14票、「実験継続」が11票、白紙が1票で、廃止が過半数だった。結果を受け、古平委員は住民代表の委員を沿線市幹部が務めている点を問題視して委員を辞任。星沢委員は「何とか残したいという一心できたから、極めて残念。こんなに簡単に廃止していいのか」と憤った。酒井会長は「社会的利益が一番優れているということで決めていただいたのでは」と話した。
今後は、協議会で代替バスの路線や停留所、運行主体などを決めた後、長野電鉄国土交通省に廃止届を出す。バス代替でも7000万円ほどの赤字が出る見込みで、3市などが負担する方針。
協議会副会長の笠原甲一・長野電鉄社長によると、屋代線の廃止で会社全体では赤字が数千万円圧縮できるといい、できるだけ早く廃止届を提出したいとしている。笠原副会長は「冬季五輪の1997年度に比べ、乗客が会社全体で2/3に減る中、毎年1億数千万円の赤字が出ているところを運行できない」と述べた。
(2011年2月4日=Yomiuri ONLINE

*1:1922年に河東鉄道(当時)として開業しました。