鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定等に関する要望

一言でいえば、「基盤の弱い鉄道のために使って欲しい」という要望です。

平素、私どもの業務運営に関しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、さる4月27日、政府の行政刷新会議によるいわゆる事業仕分けにより、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の事業における「特例業務勘定」の利益剰余金について、所要額を「国庫返納」との判断がなされました。
今後政府において、この利益剰余金の有効活用等を検討されることになると存じますが、「特例業務勘定」は、旧国鉄用地の売却収入、JR各社の株式売却収入、新幹線債権に係る収入など、国鉄改革に由来するものを主な財源としていることを勘案すれば、国鉄改革が目指した鉄道機能の活性化のために活用されることが趣旨に沿うものと考えております。
私どもは、日本の交通政策のなかで鉄道をはじめとする公共交通の果たす役割は今後とも大きいと認識しています。特に、地球温暖化対策が国をあげた喫緊の課題となっており、「環境にやさしい鉄道」の役割は、今後さらに増していくものと考えております。
一方で、国鉄改革から20年以上が経過し、JR本州三社は既に完全民営化を果たしたものの、JR三島会社およびJR貨物については、懸命なる経営努力を積み重ねてきたにもかかわらず、未だ完全民営化は達成できておらず、今後自立した収益基盤を確立していかなければなりません。
以上を踏まえ、特例業務勘定の利益剰余金の活用方につきまして、私どもJR7社は、JR三島会社およびJR貨物の経営基盤の強化(経営安定基金の積み増し、老朽化の著しい車両・施設の更新等設備投資への支援など)、整備新幹線等幹線鉄道の整備、地域鉄道(並行在来線を含む)等地域交通の確保、モーダルシフトの促進、バリアフリー設備の整備等、将来にわたって鉄道が期待される役割を果たすために必要な財源として活用されることを要望いたします。
なお、税制改正に関しても、JR三島会社およびJR貨物の経営の自立等のため、固定資産税等の特例の恒久化など、所要の税制上の措置について実施いただくよう、あわせて要望いたします。
(2010年10月20日=JR7社)

今回も、JR四国は、別途、要望書を提出しています。切実な状況が地元に理解されていればよいのですが。

平素、弊社の業務運営に関しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先般の事業仕分けにより独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構における「特例業務勘定」の利益剰余金について、所要額を国庫に返納するとの判断がなされましたが、この「特例業務勘定」が国鉄改革に由来するものを主な財源としていることからすれば、国鉄改革の未解決課題である弊社の完全民営化や四国の鉄道の維持・活性化のために、この財源を使っていただくことが国鉄改革の趣旨に沿うものと考えております。
弊社は、平成8年から10数年にわたり高速道路の延伸を主原因とする鉄道運輸収入の減少と低金利による経営安定基金の運用益の減少により、厳しい経営を余儀なくされてきました。このため、各種業務の効率化による経費の削減に努めるとともに、国等による支援策である経営安定基金の運用益の確保策や税制上の優遇措置を講じていただくことにより、かろうじて経営を維持することができておりました。
しかしながら、平成20年度から実施された高速道路料金の割引施策は弊社の経営に甚大な影響を及ぼしており、鉄道運輸収入の減少率はJR各社の中で最大となっています。これは、高速道路が弊社の線路と並行していることや本四連絡高速道路の料金が大幅に割引されたことに起因しております。
弊社は、大都市圏が無く収益基盤が脆弱であること、整備新幹線計画がないこと、高速道路が線路と並行していること、全国に先駆け高齢化が進み人口が減少していることなどJR他社にない特情を有しており、今後の鉄道経営を取り巻く環境には極めて厳しいものがあります。
このようななか、現行の経営支援策である経営安定基金の運用益の確保策や税制の優遇措置だけでは今後想定される減収には対応できず、また、期限もあることから、経営が立ち行かなくなるのは明らかであり、路線網の縮減などに踏み込まざるを得ない状況となります。
この事態を回避するには、抜本的な対応策として経営安定基金の積み増しなどの財務基盤の安定化や鉄道の競争力を高めるための高速化などの収益基盤の強化が必要と考えております。
弊社としましては、可能な限りの経営努力を積み重ねて行く所存でありますが、将来にわたって安定的な経営ができ、今後自立した経営基盤の確立のために、「特例業務勘定」を経営安定基金の積み増し等に活用されることを要望いたします。
また、税制改正に関しても、弊社の特情として鉄道運輸収入の多くを対本州輸送に依存しており、本州・四国間の高速道路料金の引き下げは経営に多大な影響を及ぼすことから、経営の自立のため固定資産税等の特例の恒久化、非課税化など、所要の税制上の措置について実施いただくよう、あわせて要望いたします
(2010年10月20日JR四国