有吉道夫九段、1,000敗

加藤一二三九段についで2人目です。1,000敗の価値については、こちらを。

将棋の現役最年長棋士で、引退が決まっている有吉道夫九段(74歳)が9日、公式戦で歴代2人目となる1,000敗目を喫した。2007年に加藤一二三九段(70歳)が初めて記録して以来。タイトル戦やリーグ戦などで勝ち、対局を積み重ねなければ到達できないだけに、55年にわたって現役を貫いた有吉九段らしい記録になった。いわば「名誉の向こう傷」だ。
有吉九段はこの日、大阪市福島区関西将棋会館で指された第68期将棋名人戦順位戦C級2組10回戦で村中秀史六段(28歳)に敗れた。この結果、通算成績は1,086勝1,000敗となり、通算勝率は5割2分1厘。終局後、有吉九段は「1,000敗を私はあまり名誉とは思いません。しかし、ずいぶん長く将棋を指してきたな、とは思います。それよりも順位戦最後の一局で必勝の手順を逃したのが残念でなりません」と話した。
有吉九段は岡山県備前市出身で故大山康晴十五世名人門下。1955年にプロ入りし、タイトル戦登場は9回。1972年度後期には第21期棋聖位を獲得。将棋界で8人しかいない1,000勝達成棋士で、激しい攻めの棋風から「火の玉流」の異名を持つ。
有吉九段は今年2月2日の順位戦C級2組9回戦で敗れ、成績と年齢による日本将棋連盟の規定により引退が決まった。その際、引退は3月31日付と発表されたが、その後、第60回NHK杯将棋トーナメントの予選で3連勝し、4月以降に放送予定の本戦に出場を決めたため、日本将棋連盟棋士の引退日付を従来の「引退が決まった年度末」から「引退が決まった年度に勝ち残っていた棋戦の最終対局日」に変更した。
(2010年3月9日=asahi.com