大津波警報発令

丸1日で来るのですから、飛行機並みの速さですね。

南米チリ中部の沿岸で発生した大地震で、気象庁は28日朝、最大で3mの津波が到達するおそれがあるとして、東北地方3県の太平洋沿岸部に大津波警報を発令した。津波警報は北海道から沖縄までの太平洋沿岸全域に出され、広い範囲で1.2m〜10cmの津波が観測された。朝日新聞の集計(18時現在)では、20都道県の約1,498,000人に避難指示や勧告が出された。総務省消防庁によると、同日20時現在、人的被害は確認されていない。
大津波警報の発令は、230人の犠牲者を出した1993年の北海道南西沖地震以来*1気象庁などによると、小笠原諸島南鳥島では28日12時43分に10cmを観測。その後、津波は列島各地に到達し、岩手県久慈市久慈港(17時1分)と高知県須崎市の須崎港(19時42分)では1.2m、宮城県仙台港と鹿児島県志布志市志布志港では1.1mが観測された。1mの津波が観測された北海道根室市の花咲港では防波堤が冠水。宮城県でも気仙沼石巻両市など2市3町で道路など8カ所が冠水した。
朝日新聞の集計では、避難指示・勧告は約665,000世帯の約1,498,000人に出された。都道府県別では、三重県の約73,000世帯(約181,000人)、沖縄県の約89,000世帯(約215,000人)、北海道の約50,000世帯(約110,300人)などが目立った。
総務省消防庁のまとめによると、大津波警報が出された岩手、宮城、青森の3県では約34万人に避難指示・勧告が出たが、避難所などに移ったのは約2万人にとどまった。
沿岸部を中心に、鉄道の運休なども相次いだ。国土交通省によると、JR各社(北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州)をはじめ、小田急京浜急行伊豆急行などの計58路線で運転を見合わせた。
北海道の苫小牧港などでは一時、フェリーの接岸が制限された。
気象庁は同日19時過ぎ、青森、岩手、宮城各県に出していた大津波警報津波警報に切り替えた。同日21時45分の会見では津波は今後終息に向かうとの見通しを示し、1日未明にかけ、相次いで警報を注意報に切り替えた。ただし、一部の地域では注意報は続く見通し。
(2010年2月28日=asahi.com

<2010年3月1日追記>
「安全より営業を優先させた」と言われても仕方ないでしょうね。

チリ巨大地震津波の影響で、乗客乗員計220人が乗った和歌山〜徳島間のフェリー2便が、海上に約9時間停泊した問題で、運航する南海フェリーが和歌山、徳島両港に避難勧告が出たのを知りながらフェリーを出港させていたことが1日、分かった。法的拘束力はないものの、避難勧告が出ると出入港は原則的にできない。
気象庁は2月28日午前に津波警報を発令。津波到達予想時刻を和歌山県徳島県では同日14時半頃とし、両港は警報をもとに避難勧告を出した。同社は勧告が出たことは把握したものの運休とせず、フェリーは和歌山港を同日13時40分に、徳島港を同13時半に出航。到着予定は津波の到達予想時刻を過ぎる約2時間後だった。
同社の運航管理者は「船長と13時すぎに協議したが、津波到達が予想より遅れていた上、最初の波が小さかったので行けると思った」と釈明。第2波が予想より大きく、入港を中止したという。津波に関する安全基準はなかったという。
(2010年3月1日=MSN産経)

<2010年3月3日追記>
「車の出入りができない」といっても、せいぜい半日程度の話ですから、閉めない理由にはならないでしょう。

チリ大地震に伴い2月28日に東京湾岸に津波警報が出た際、東京都が大田区東糀谷の防潮扉を閉鎖せず、半開きの状態にしていたことが3日、分かった。
防潮扉外側の海に面した敷地には、お年寄りら約300人が入所する福祉施設や工場がある。都港湾局は「閉鎖すると車の出入りができないと判断した」と説明。津波被害を十分防げなかった可能性があり、以前から指摘されていた福祉施設の立地環境の適否が、現実の問題として浮上した形だ。
施設は10階建てのビルで、特別養護老人ホームなどが入っている。敷地は造船所の跡地で、都の防潮扉や堤防の外側の海に面した場所にあり、高潮などで防潮扉を閉鎖すると、施設が孤立する恐れが指摘されていた。
(2010年3月3日=MSN産経)

下の画像は、東京大学地震研究所佐竹健治教授による津波のシミュレーション結果です。

<2010年3月4日追記>
これで遭難したらどうするのでしょう。

南米チリの大地震による津波が心配された2月28日、全国各地の海岸では、海上保安庁や警察などの避難指示にもかかわらず、波乗りを続ける人がいた。海に出ていたサーファーらは海保が確認しただけで全国で約1,100人。津波はサーフィンに適した大波とは形や威力が違い、極めて危険だ。無謀な行為に、サーフィン愛好者からも非難の声があがる。
千葉県館山市の平砂浦海岸。当日の午後、上空を哨戒飛行していた第3管区海上保安本部のヘリコプターが、波乗りをしているサーファー約30人を確認した。拡声機で避難を呼びかけると、何人かは陸に上がったが、約1時間後に戻ったところ、サーファーは約50人に増えていた。拡声機で呼びかけても、反応はほとんどなかったという。
館山市布良では、14時16分に20cmの津波の第1波を観測。気象庁は「津波は後の方が大きい可能性がある」として、引き続き高所への避難を呼びかけていた。
ヘリはぎりぎりまで海面に近づき、潜水士2人が飛び込んだ。泳いでサーファーに近づき懸命に説得したが、波の音に打ち消されて声は届きにくかったという。
陸上からは、地元の消防団員162人が消防車で海岸付近を巡回して避難を呼びかけた。千葉県警館山署も、サーファーの多かった平砂浦と同県南房総市和田浦海岸に警察官を派遣して、14時頃に、いったんほぼ全員を陸に呼び戻した。しかし、警官の姿が見えなくなると再び海に出るサーファーが相次ぎ、暗くなるまでいたちごっこが続いたという。館山市では17時52分に80cmの最大波を観測した。
地元のサーフィン愛好家(45歳)は「首都圏のサーファーは、時間と金をかけて来たのだから少しでも長く波乗りをしたいと、危険を無視して海に出がちだ」と話した。
年間約6万人のサーファーが訪れる北海道厚真町の浜厚真海岸にも、28日早朝から見物人も含めて100人ほどが訪れていた。
苫小牧海上保安署は9時30分から正午すぎにかけ、浜辺からと海上からの二手に分かれ、避難を呼びかけた。警報を知らなかった人や、子ども連れの多くは素直に聞き入れたが、「ビッグウエーブに乗ってみたい」と無視するサーファーも少なくなかったという。浜厚真海岸から約2kmの苫小牧東港では16時45分に約30cmの津波を観測している。
海上保安庁によると、神奈川県や福島県、愛知県、三重県和歌山県徳島県沖縄県の海岸でも、海に出たサーファーが確認された。呼びかけに応じないケースも目立ったという。海保では「台風の際にも多くのサーファーが浜に集まる傾向がある。指示には必ず従って」と訴える。
日本サーフィン連盟は、「津波はサーフィンに適した波とは質も力も全く異なるもので、非常に危険」と指摘。「海の危険性を学ばないまま、道具だけ買って何となく始めるサーファーが出てきている」として、ルールやマナー順守を呼びかけていく方針だ。
(2010年3月4日=asahi.com

*1:1953年の房総沖地震、1983年の日本海中部地震の時にも発令されたようです。