KDDI、J:COMの筆頭株主に

KDDIは25日、CATV最大手ジュピターテレコムJ:COM)の発行済み株式の37.8%を米メディア複合企業「リバティー・グローバル」グループから2月中旬をめどに買い取り、持ち分法適用会社にすると発表した。
取得額は3617億円で、KDDIとしては過去最大規模の株式取得となる。CATV会社への出資で通信回線や顧客の基盤を広げ、電話とインターネット、テレビが連携したサービスが提供しやすい体制を整えて、NTTグループに対抗する考えだ。
NTTグループは、光ファイバー網など充実した自前の通信網を使って電話やインターネット、映像事業を手がけている。これに対し、KDDIは自前のブロードバンド回線を持たない地域ではNTTの通信網を借りる必要があり、独自のサービスを手がけにくい。
KDDIはこれまでもCATV会社に積極的に出資し、通信基盤の拡大を目指してきた。最大手との提携で、インターネットと映像配信を組み合わせた新しいサービスなどに乗り出す方針だ。
CATVとインターネット接続サービスを提供するJ:COMの契約者数は327万世帯。有料多チャンネル放送のシェアは、KDDIと合計すれば29.5%となり、現在の3位から、スカパーJSATグループ(32.4%)に次ぐ2位に浮上する。
インターネット接続サービスのシェアも12.3%と、2位のヤフー(14.2%)に肉薄する3位となり、首位のNTTグループ(29.9%)との差が縮まる。
(2010年1月25日=YOMIURI ONLINE

ちなみに、過去の買収は、以下のとおりです。

KDDIは2006年2月6日、ジャパンケーブルネットホールディングス(JCNH)とジャパンケーブルネット(JCN)の株式をセコムと丸紅から所得したと発表した。この結果、JCNへの直接および間接出資比率は38.18%で筆頭株主となる。
KDDIによると「将来の光展開を見据えて買収した。JCNのネットワーク上で、多チャンネル放送、インターネット、電話、auの携帯電話との連携によるFMCを加えた、いわゆるクワトロプレイ・サービスなどを提供したい」という。
なお、少数株主からの株式買取の結果、KDDIのJCNへの直接および間接出資比率は47.3%まで増加する可能性があるという。その場合、株式買取額は最大で335億円。
(2006年2月6日=ITpro)

KDDIは子会社でCATV2位のジャパンケーブルネット(JCN)を通じ同7位の東京電力のCATV事業を買収する。買収額は200億円前後とみられる。NHKや民放がインターネットを通じた視聴サービスを始めるなど番組配信の手法が多様化している。CATV会社は規模拡大による生き残りを目指しており、最大手のジュピターテレコムJ:COM)が3位の企業を買収するなど寡占化が急速に進んでいる。
17日に発表する。東電子会社のテプコケーブルテレビ(T-CAT)と川越ケーブルビジョンを買収する。T-CATの有料テレビサービスの加入世帯数は約11万世帯、川越ケーブルビジョンは約2万世帯。JCNの有料テレビ加入世帯数は合計約73万世帯になり、シェアは10%強に高まる。買収により約37%となるJ:COMと合わせると2社で5割近くを占めることになる。
(2008年12月17日=NIKKEI NET)

KDDIグループでCATV2位のジャパンケーブルネット(JCN)は15日、ケーブルテレビ足立を買収すると発表した。スカパーJSATから同社の全保有株式を61億9200万円で取得する。JCNは規模拡大で経営効率を高め、スカパーJSAT経営資源を本業のCS放送に集中する。
JCNはスカパーJSAT保有する77.4%の株式を2010年2月26日付で取得する。ケーブルテレビ足立は東京都東部の足立区全域で放送事業を展開し、2009年3月期の売上高は35億円。JCNは買収を通じて首都圏で営業地域を拡大しており、今回の買収で系列局は18局となる。
(2009年12月16日=NIKKEI NET)

<2010年2月3日追記>

KDDIが2月中旬に予定しているジュピターテレコムJ:COM)への資本参加を巡り、金融庁が法的な妥当性の調査に乗り出した。同社は議決権の1/3超を得るために、実質的な大株主から株式を相対で取得すると発表したが、株式市場参加者の間ではTOB(公開買い付け)が必要ではないかとの指摘が出ていた。調査の結果次第では、資本参加の練り直しを迫られる可能性もある。
KDDIは1月25日にジュピターテレコムへの資本参加を発表した。発行済み株式の38%弱を3600億円強で買い取る予定。ただ実際に取得するのはJ:COM株を保有する米リバティー・グローバル傘下の3つの中間持ち株会社だ。
(2010年2月3日=NIKKEI NET)

<2010年2月6日追記>

KDDIは6日、CATV最大手ジュピターテレコムJ:COM)の発行済み株式37.8%を米リバティグローバルから取得する計画について、比率を1/3以下に引き下げる調整を進めていると明らかにした。上場企業株の1/3超取得にもかかわらず、すべての株主を対象とするTOB(株式公開買い付け)を実施しない点を問題視する金融庁の指摘を受けて見直しを検討する。
取得予定だった株式のうち、1/3を超える部分(約4.5%分)の引受先について、取引金融機関などと協議を始めた。リバティが保有株をすべて手放し、KDDI筆頭株主になる枠組みは維持する方針。4.5%分のJ:COM株は単純計算で400億円を超えるため、引受先の確保が当面の焦点となる。
(2010年2月6日=NIKKEI NET)