リニア部分開業も

費用は、実験の延長という捉え方もできるでしょう。

JR東海葛西敬之会長は8日、2025年に東京〜名古屋で開業を目指しているリニア中央新幹線について、一部区間を先行して開業させる方針を明らかにした。区間は神奈川〜山梨が有力。実際にリニアを運行させて運営ノウハウを蓄積し、技術改良を促すねらいがある。
葛西会長は、名古屋市内であった地元財界の賀詞交歓会で、報道陣に「リニアの部分開業は既定路線。可能な区間から開業する。神奈川〜山梨が適当だろう」と述べた。
地下40mより深い「大深度地下」に駅を建設する東京、名古屋や、南アルプスを貫通する約20kmのトンネルの工事には長い時間を要する。一方、山梨では、2013年度末をめどに既存のリニア実験線18.4kmを、42.8kmに延ばす工事が進んでおり、この区間を生かせるという事情がある。
神奈川県は相模原市辺り、山梨県甲府市辺りで、駅の設置が有力視されている。相模原、甲府両市は直線で約70km離れており、500km/hで運行すると10分かからずに到着する計算だ。
先行開業の時期については、葛西会長は「言える段階ではない」とした。JR東海は2014〜2015年ごろの着工を目指しており、早くてもこれ以降の開業になる。
ただ、部分開業では収支が赤字になる可能性が高い。この点について葛西会長は「東海道新幹線と合算して収支が合えばいい」と話した。
リニア中央新幹線は、整備計画の策定へ向け、今年から国の交通政策審議会で、具体的なルートや駅の場所の議論が始まる。JR東海は、神奈川、山梨など中間駅の建設費を、地元に負担させる方針。先行開業するにしても、巨額の建設費負担の問題が懸案になりそうだ。
(2010年1月8日=asahi.com