阪神なんば線、好調

中之島線とは大違いなようです。

3月の阪神なんば線(尼崎〜大阪難波)の開通から約2カ月。近鉄との相互直通運転で神戸・三宮〜大阪難波〜奈良間を乗り換えなしで結ぶ便利さが観光、行楽を中心に新たな需要を掘り起こし、順調な滑り出しとなった。神戸、奈良ではホテルの宿泊客が増えるなど開通効果に沸く一方、電車の遅れが目立つなど課題も浮上している。
「こんな伸びは記憶にない」。大型連休が明けた7日、阪神電鉄の広報担当者は、連休中の利用実績に驚きを隠さなかった。4月29日〜5月6日の定期外利用客は前年比25%増。関西の私鉄各社の中でも飛び抜けており、阪神なんば線の開通効果を実感させた。
近鉄も「効果は想定以上」と喜ぶ。同社が主要駅を対象に開通後1カ月間の定期外の降車客数を調べると、大阪難波駅で前年同期比28.5%、近鉄奈良駅で同11.1%も増えた。
ただ、安定収入が見込める定期客は利用者全体の3割程度。阪神電鉄幹部は「まだまだ発展途上。地道に企業回りを続けたい」と話す。
沿線には開通効果が広がっている。
ホテル日航奈良が企画した兵庫県民の室料を半額にするプランは、3〜4月に約800人が利用するヒット商品となった。宿泊客全体に占める兵庫県民の割合は前年の1.5%から4.4%に増加。当初4月末までだった期間を7月17日まで延長した。
今年、創業100周年を迎える奈良ホテルも3〜4月の兵庫県在住者の宿泊が30%増えた。開通記念ランチを企画したレストランも来店者が15%伸びたという。
“海のない”奈良県民には、神戸港の人気が高い。レストラン周遊船「ルミナス神戸2」の運営会社によると、4月の奈良県民の利用は前年比1.6倍に。割引プランが誘い水となったが、対象外の大阪府民の利用も2割増えた。大型遊覧船「コンチェルト」も開通記念プランが好評だった。
神戸のホテルも奈良方面からの宿泊が増えた。ニューオータニ神戸ハーバーランド奈良県民向け割引プランは約100組が利用。4月末で終了したが、6月以降の再開を検討している。
阪神相互直通運転する山陽電鉄は今月9日、明石や高砂、姫路をPRするイベントを奈良市内で開催。約2,500人が訪れ、同社は「今後も仕掛けを考えたい」と手応えを感じたようだ。
プラス面の影響ばかりではない。阪神の利用客から「なんば線開通後、電車がよく遅れる」との不満が漏れる。大きな遅延はないものの、3〜5分程度の遅れが慢性化している。
阪神尼崎駅での車両の増結・開放作業に時間がかかるほか、近鉄奈良線と京都、橿原線が平面交差する大和西大寺駅での電車の接続待ちなどが影響しているという。
阪神電鉄は「ご迷惑をかけて申し訳ない。余裕のあるダイヤ設定など工夫しているが、安全が最優先であり、ご理解を」としている。
(2009年5月16日=神戸新聞