国分寺変電所で火災

昨年の秋にも似たような事件があったような気がします。

10日6時40分頃、JR中央本線国分寺駅そばの旧信号所(鉄筋コンクリート3階建て)から出火、旧信号所と隣接する変電所のそれぞれ一部が燃えた。火は間もなく消えたが、7時54分から、東京〜甲府間の上下線で特急と快速が運転を見合わせた。三鷹〜立川間では、上り快速電車(10両編成)5本が立ち往生し、乗客約2万人が最寄りの駅まで避難誘導された。10人が気分が悪くなり、6人が病院に搬送された。
JR東日本八王子支社などによると、東京〜三鷹間は普通電車などの運行を続けたが、三鷹甲府間では全面的に運行を休止。高尾〜甲府間は11時に運行を再開したが、三鷹〜高尾間は運休が続いた。
正午現在、225本が運休し、30本に遅れが出るなど約25万人に影響が出た。
武蔵境〜立川間で漏電防止のため電力の供給を止めたため、信号機が作動しなくなっており、復旧は14時頃になる見込み。
立ち往生した5本の車内には各約4000人が閉じ込められた。避難誘導が始まるまで約1時間かかった電車もあった。安全に線路に降りてもらうため、はしごなどを用意するのに時間がかかったという。
全員の誘導が終わったのは11時9分。国分寺駅のホーム手前で停車した乗客の1人は、途中で転倒し、ひじに軽傷を負った。
警視庁小金井署や東京消防庁によると、旧信号所は、電話機や無線機を備え、沿線駅ととの通信を行うところだが現在は使われていない。出火当時、無人で施錠されていた。侵入の形跡はないことから、電気系統のトラブルとみられる。消防庁の消火活動で鎮火した。
また、変電施設のすぐ南側にあるマンホールが吹き飛び、付近のマンションの蛍光灯が割れた。火事の爆風が原因とみられる。また、別のマンションの配電盤も焦げたとの情報がある。国分寺駅の周辺では一時約1,780世帯が停電し、道路の信号機が消えたり、一部休講する大学も出た。
(2008年4月10日t=毎日jp

<2008年4月11日追記>

東京消防庁は11日、変電所内の電流が地面に伝わる「地絡」と呼ばれる現象が起き、変電所内のブレーカーに大量の電流が流れて発熱した可能性が高いと発表した。
同庁によると、この現象は変電所などの絶縁設備が不十分だった場合などに発生する。変電所には絶縁設備が設けられていたが、周辺のマンションの配電盤などにもブレーカーと同様の焦げ目が見つかっていることから、火災発生時に地面に大量の電流が流れていたことが確認されたという。
絶縁設備が十分に機能しなかった理由について、同庁で調べを進めている。
(2008年4月11日=Yomiuri On Line)

<2008年6月13日追記>

財団法人鉄道総合技術研究所に協力を依頼し、原因について調査検討を行ってまいりましたが、このほど原因が判明しましたので、必要な対策を実施してまいります。

  • 出火原因《遮断器のせり出しに起因する地絡(漏電)》
    • 焼損した変電所の遮断器(ブレーカー)は作業・交換などのために抜き差しできる構造になっていますが、正常の位置より約15mm手前にせり出していることがわかりました(振動によってせり出したと思われる)。これにより、遮断器と電線の接続箇所に隙間が発生したため不完全な接触となり、発熱して焼損、地絡(漏電)に至りました。
    • 列車無線に使う通信回線の不具合が発生した件については、一部接地線(アース)の不備により、地絡(漏電)した電気が通信ケーブルを焼損させたため、両隣の変電所を自動的に遮断させるシステムが動作せず、電気が流れ続け、通信回線などを焼損させたためです。
  • 対策
    • 今年度中に、同形式の遮断機324 台に対し、せり出し防止のロック機構を取り付けるとともに、接地線の再整備を行います。
    • 緊急対策として、せり出し防止用ゴム製ストッパを全箇所で取り付け完了しております。また、接地線の点検および修繕についても全箇所で実施し、完了しております。
    • 火災を想定し、通信回線が焼損・断線しても故障を検知できるシステムのバックアップを導入します。(首都圏を中心に展開)
    • 変電所と通信機器室が近くにある箇所において、変電所の電流が通信機器室へ流れ込まないように、変電所と通信機器室の間の通信回線を絶縁性の高い光ケーブルに置き換えてまいります。
    • その他、検査項目の追加、早期運転再開に向けた対策などを検討、実施してまいります。

(2008年6月13日=JR東日本