「スーパーおおぞら」が脱線、炎上

トンネルの中に停まってしまったのは拙かったかもしれない*1のですが、第1ニニウトンネルを抜けると、わずか180mで新登川トンネル(延長5,825m)に入ってしまいます。新登川トンネルに入ってから停まっていたら、大変な事になっていたでしょうね。

27日21時55分ごろ、JR石勝線占冠新夕張間の第1ニニウトンネル(上川管内占冠村ニニウ、延長685m)内で、釧路発札幌行きの特急スーパーおおぞら14号が車両火災を起こし、緊急停止した。乗客約240人は、トンネル外に徒歩で避難した。40人が煙を吸い一酸化炭素中毒の症状を訴えるなどで帯広厚生病院などに搬送されたが、いずれも軽症とみられる。28日10時すぎには車内も含めトンネル内に取り残された人がいないことが確認された。後ろから2両目が脱線しており、道警と国土交通省が事故の原因を調べている。この事故の影響で、釧路〜札幌間の特急列車20本が運休した。
JR北海道によると、列車は6両編成で、3号車の乗務員が走行中の異音に気付き、列車を緊急停止させた。その時点で煙は確認されなかったが、先頭の6号車を点検して3号車に戻った時点で車内に白煙がでていた、という。
乗客は乗務員の誘導で先頭車両に移動、非常用ドアコックで扉を開け車外に降り、煙が充満している真っ暗のトンネル内を歩いて列車の進行方向側(新夕張側)に避難した。全車両が燃え、28日7時36分に鎮火した。
トンネルの東側には、列車が脱線したとみられる跡が数百メートルにわたって、コンクリート製の枕木などに残っている。国土交通省運輸安全委員会は調査官ら4人を派遣、28日午後、現地に入り、事故原因などの調査を開始した。
JR北海道は27日23時、富良野消防署占冠支署に通報。同消防はトンネルの西側に0時に到着し消火を開始した。けが人が多かったため、富良野上富良野、穂別、南富良野など上川、日高管内のほか、芽室、新得などの各消防署に応援を要請。富良野協会病院に16人、帯広厚生病院に9人、清水日赤病院に2人を搬送した。けがのなかった乗客207人は28日3時10分、JRの用意したバスで占冠村コミュニティプラザに到着した。その後、乗客は5時以降、順次バスで札幌、千歳、釧路に向かった。
鎮火後、警察がトンネル内を捜索し、同日10時10分までに、車両内とトンネル内に取り残された人がいないことを確認した。
(2011年5月28日=WEB TOKACHI)

<2011年5月29日追記>

上川管内占冠村のJR石勝線の第1ニニウトンネル(延長685m)で27日夜、釧路発札幌行きの特急「スーパーおおぞら14号」(6両編成)が脱線し、全焼した事故で、JR北海道の一條昌幸専務らは28日、札幌市内の本社で記者会見し、前から4両目の3号車下部に設置されていた鉄製部品が落下しているのが見つかったことを明らかにした。同社は部品の脱落が脱線の原因となった可能性があるとの見方を示した。29日には原因などを調べるため、車両をトンネル外に移動させる作業を進めている。
同社によると、5両目の2号車の車輪4列のうち、後ろから2列目の車輪が進行方向左側に15cm脱線していた。脱線痕は停止した車両最後尾の725m手前からあった。
落下したのは、エンジンから車輪に回転力を伝える推進軸の一部。車両最後尾から1,498m手前に推進軸の筒、その30m前に継ぎ手部分がそれぞれ落ちており、車両から2,262m前の枕木には、部品が当たったとみられる衝撃痕もあった。
同社は、3号車の推進軸を落下させながら走行した特急が、何らかの理由で部品に乗り上げるなどして2号車の脱線を招いた可能性があるとみている。推進軸の検査は3日に1回実施しており、事故前は25日に行い、当日の走行前にも目視で点検したが、異常は確認されなかったという。
特急が停止したのは同トンネルの中央付近で、先頭6号車から進行方向(札幌側)の出口までは480m。異音と横揺れを感じた男性車掌(60歳)が男性運転士(26歳)に連絡、緊急停止した。2号車から煙が出ているのに気づき、トンネルから脱出を試みたが、装置の不調で走行できなかったという。
車内に充満する煙や停電などで危険を感じた乗客が自力で避難を開始。乗客、乗員全員が特急を出たのを確認したのは、緊急停止から約1時間半後の27日23時27分。
同社は、緊急停止から2時間を過ぎた28日0時2分、道警からの連絡で火災を確認した。同社は「列車の異常や煙を認知してからの手順を踏むのに時間がかかった。もう少し早い判断があれば短時間で避難誘導できたと反省している。今後検証し、見直したい」と述べた。
今後の運転再開については、車両撤去後に火災で燃えたトンネル内の修復などが必要で、「まだめどは立っていない」とした。
国土交通省運輸安全委員会鉄道事故調査官ら4人が28日14時、現地に入り、事故原因を調査した。約4時間にわたる調査後、報道陣の取材に応じた金井尚調査官は「部品の脱落が脱線の原因であるかは現時点では分からない」と説明した。
道警は運転状況や車両整備の経緯を調べるため、週明けにも業務上過失致傷容疑で、札幌市の同社本社を家宅捜索する方針。
(2011年5月29日=WEB TOKACHI)

<2011年5月30日追記>
いずれも、車齢が若い車両で事故が発生しています。設計上、整備上の問題でなければよいのですが。

北海道占冠村のJR石勝線で起きた特急列車の脱線事故で、エンジンの力を車輪に伝える「推進軸」が脱落していたことを受け、国土交通省は30日、全国の鉄道会社にディーゼル車の推進軸の緊急点検を指示した。事故の2日前には、高松市のJR高徳線でも推進軸が脱落する故障が起きていたことも分かった。
国交省によると、25日16時10分ごろ、高松市八栗口駅に停車中の普通列車で故障の表示が点灯。JR四国が点検したところ、車内の照明用の発電機を回す推進軸が脱落していた。推進軸は駅の手前に落ちていたという。
同省によると、ディーゼル車は列車と機関車を合わせて、63の鉄道会社が計3,344両所有。脱線した特急列車は富士重工が2001年に製造。普通列車は、富士重工から技術を引き継いだ新潟トランシスが2008年に製造したという。
(2011年5月30日=asahi.com

<2011年6月2日追記>
結構、落ちていますね。(w

北海道占冠村のJR石勝線トンネル内で起きた特急列車の炎上事故で、脱線の要因となった推進軸が外れる事故が全国のJRで1991年以降に少なくとも18件あったことが、JR各社への取材で分かった。エンジンと車輪をつなぐ推進軸はディーゼル車両の構造上、最も負荷がかかりやすい箇所とされ、専門家は整備の徹底を求めている。
炎上した特急スーパーおおぞら14号は、トンネル手前約1.8kmで減速機と台車を固定する「つりピン」が落下。その影響で減速機につながる推進軸が異常振動を起こし、継ぎ手などの部品が次々と脱落して脱線を引き起こしたとみられる。
JR各社によると推進軸が外れるトラブルは、把握しているだけで▽JR北海道1件▽JR東日本5件▽JR東海1件▽JR西日本5件▽JR四国2件▽JR九州1件▽JR貨物3件−−の計18件が発生。原因は接続部分のナットの緩みやゴムの劣化などで、軸自体が折れたのは1件だけだった。
炎上した列車と同じカーブ時に重心が傾く「振り子式」構造の特急列車では、北海道(1994年5月)と四国(2003年12月)で1件ずつ発生。北海道は今回と同様につりピンの落下、四国は推進軸と減速機をつなぐ部分のナットの緩みが原因だった。
推進軸は、回転してエンジンの動力を車輪に伝える役割を担う。ここが故障すると車両は動かなくなり、部品の脱落で車両や線路が損傷する危険もある。
(2011年6月2日=毎日jp

<2011年6月18j日追記>
土曜日だというのに、ご苦労様です。まぁ、事柄の性格上、土日にこだわらす、直ちに手交したということなのでしょう。最も、「トンネル+脱線+火災」のコンボに対して、とるべき行動が直ちに分かるマニュアルを作れるのかというと、かなり難しいでしょうね。

北海道占冠村のJR石勝線トンネルで起きた特急脱線火災事故で、国土交通省は18日、避難マニュアルなどに問題があったとして、JR北海道に対し、鉄道事業法に基づく事業改善命令を出した。鉄道事業者に同命令を出したのは6例目。
また脱落した減速機を取り付けるナットを一定の力で締め付ける作業が、一部車両区で実施されていなかったことなども判明。整備や検査を見直すよう行政指導にあたる改善指示も出した。
改善命令では、運転士や車掌、指令員の避難誘導や非常ブレーキの対応マニュアルが複数あり、整合性がないなど不適切な点があるとして、マニュアルの改定を求めている。

*1:1軸脱線していたので、無理に走行を続けると、列車が分離していたかもしれません。