伊藤正己先生

三ケ月章先生に続いて伊藤正己先生も逝去されました。

最高裁判事として言論・表現の自由を重視する見解を数多く示した東大名誉教授の伊藤正己さんが27日、呼吸不全のため東京都新宿区の病院で亡くなった。91歳。葬儀は親族で済ませた。お別れの会を後日開く。喪主は長男克己さん。
専攻は英米法・憲法。東大法学部長などを経て1980年に最高裁判事に就任。1989年までの在任期間中、40件以上の少数意見を表明した。
殉職自衛官護国神社に合祀したことが政教分離原則や信教の自由に反するかが争われた「自衛官合祀訴訟」の大法廷判決(1988年)では、合憲とした多数意見に対し、ただ一人反対意見を表明。外国から持ち込んだヌード雑誌などに対する税関検査を合憲とした「ポルノ税関検査訴訟」(1984年)、18歳未満の少女とのみだらな行為を処罰する規定を設けた条例を合憲とした「福岡県青少年保護育成条例違反事件」(1985年)では、規定の不明確さなどを理由に「違憲」との反対意見を表明した。一方、「1票の格差」が最大4.40倍に達した1983年衆院選違憲とした大法廷判決(1985年)では多数意見だった。1999年に文化勲章を受章。
(2010年12月29日=毎日jp