騒音で小田急に損害賠償命令

新幹線鉄道騒音に係る環境基準(昭和50年7月29日環境庁告示第46号)によると、6時〜24時において、住居地域=70dB、商工業地域=75dBとなっています。鉄道側としては、夜間と昼間で発生させる騒音レベルを変えることが困難*1ですから、実質60dBを守らなければならず、かなり厳しいものとなりそうです。

東京都内の小田急線沿線住民ら118人が電車の騒音などで健康被害を受けたとして、小田急電鉄に7億8486万円の損害賠償などを求めた騒音公害訴訟の判決が31日、東京地裁であった。
村上正敏裁判長は住民が我慢するべき騒音の限度(受忍限度)を「昼間(7時〜22時)は平均65dB、夜間(22時〜翌7時)は平均60dB」とする基準を初めて示した上で、原告42人に計約1100万円を賠償するよう命じた。在来線の騒音を巡る集団訴訟で賠償が命じられたのは初めて。
小田急線の騒音問題を巡っては、公害紛争を仲裁する総務省公害等調整委員会が1998年7月、1日の平均騒音レベルが70dB以上の住民34人に慰謝料計956万円を支払うよう小田急側に求める裁定を示しているが、この日の判決は、この裁定よりも幅広く原告を救済する判断となった。
訴訟の対象となった区間は、代々木上原〜喜多見付近の約9.2km。原告側は騒音被害への損害賠償と、騒音を「昼間は60dB、夜間は50dB以下」にするよう求めていた。
判決は、同線の年間輸送人員が約6億8300万人に上ることなどから、「公共性が極めて高い」と認定したが、「会話妨害、テレビの視聴妨害などの騒音による被害は軽微とは言えず、受忍限度を超える」との判断を示した。今回の訴訟は、公害等調整委員会の裁定を不服とする一部住民ら計352人が1998年8月と1999年7月に提訴。このうち203人は2004年8月、騒音レベルを1日の平均で65dB以下にすることや同社が総額4200万円を支払うことなどで和解していた。
◆騒音公害=騒音に関する国の環境基準は、住居地域は6時〜22時、55dB以下が「望ましい」としている。60dBは「静かな乗用車」「普通の会話」程度。道路沿線の騒音を巡っては「国道43号線訴訟」で、65dB以上の騒音被害を受けた住民への賠償命令が、1995年に最高裁で確定している。
(2010年8月31日=Yomiuri ONLINE

*1:徐行するくらいしか手段がありませんが、社会的に許容されないと思われます。