鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定に関する要望

JR7社連名の要望は7月20日に提出されていますが、JR四国は単独で別途、提出しました。苦しさが伝わってきます。

平素、弊社の業務運営に関しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先般の事業仕分けにより独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構における「特例業務勘定」の利益剰余金について、所要額を国庫に返納するとの判断がなされましたが、この「特例業務勘定」が国鉄改革に由来するものを主な財源としていることからすれば、国鉄改革の未解決課題である弊社の完全民営化や四国の鉄道の維持・活性化のために、この財源を使っていただくことが国鉄改革の趣旨に沿うものと考えております。
弊社は、平成8年から10数年にわたり高速道路の延伸を主原因とする鉄道運輸収入の減少と低金利による経営安定基金の運用益の減少により、厳しい経営を余儀なくされてきました。このため、各種業務の効率化による経費の削減に努めるとともに、国等による支援策である経営安定基金の運用益の確保策や税制上の優遇措置を講じていただくことにより、かろうじて経営を維持することができておりました。
しかしながら、平成20年度から実施された高速道路料金の割引施策は弊社の経営に甚大な影響を及ぼしており、鉄道運輸収入の減少率はJR各社の中で最大となっています。これは、高速道路が弊社の線路と並行していることや本四連絡高速道路の料金が大幅に割引されたことに起因しております。
弊社は、大都市圏が無く収益基盤が脆弱であること、整備新幹線計画がないこと、高速道路が線路と並行していること、全国に先駆け高齢化が進み人口が減少していることなどJR他社にない特情を有しており、今後の鉄道経営を取り巻く環境には極めて厳しいものがあります。
このようななか、現行の経営支援策である経営安定基金の運用益の確保策や税制の優遇措置だけでは今後想定される減収には対応できず、また、期限もあることから、経営が立ち行かなくなるのは明らかであり、路線網の縮減などに踏み込まざるを得ない状況となります。
この事態を回避するには、抜本的な支援策として経営安定基金の積み増しや競争力の強化策としての高速鉄道ネットワークの新たな構築、また、安全・安定輸送に資するためにも老朽化設備の取り替えや利用者の利便性の向上に対する設備投資資金の手当てなどが考えられます。
弊社としましては、可能な限りの経営努力を積み重ねて行く所存でありますが、将来にわたって安定的な経営ができ、今後自立した収益基盤の確立のために、「特例業務勘定」を経営安定基金の積み増しや設備投資資金の財源に活用されることを要望いたします。
(2010年7月28日=JR四国