余部「鉄橋」最後の日

コンクリート橋への架け替えのため、JR山陰本線余部鉄橋が16日夜、大阪発鳥取行き特急「はまかぜ5号」の通過で、98年の歴史に幕を閉じた。
最終列車の通過を前に、同日午後にはイベントも開かれた。17日から8月11日まで、香住〜浜坂駅間を運休し、架け替え工事を進め、同12日から新しい橋の供用が始まる。
長さ310m、高さ41.5mで、やぐらを組んだ鉄橋は1912年に開通。1986年には6人が犠牲となる列車転落事故も起きた。
鉄橋下の慰霊碑前では15時から、遺族やJR関係者らが参列して「余部鉄橋に心から感謝する惜別の儀式」が行われた。事故で妻を亡くした事故遺族連絡会会長の岡本倫明さん(76歳)は「子どもの頃から親しんだ鉄橋がなくなるのはさみしいが、コンクリート橋で安心安全な運行を」と話した。
鉄橋西側の無人駅・餘部駅では、地元住民や鉄道ファンらがホームに入る列車を写真撮影したり、手を振ったりして最後の日を惜しんだ。
記念にと、はまかぜ5号に乗車した奈良市の会社員村上正樹さん(31歳)は「余部鉄橋は世界的にも珍しい威風堂々とした姿。最後の瞬間を胸に焼き付けたい」と話した。
(2010年7月16日=Yomiuri ONLINE