西鉄がバス減便、廃止

今は、バスが話題になっていますが、鉄道も同様でしょうね。というより、鉄道の場合はインフラを所有しているので、減便ではなくて廃止になるはずです。

高速道路の割引で、路線バスの存続が揺らぎ始めている‐。自公政権が導入した「1,000円高速」でマイカー利用が増え、バス事業の収益源である高速バスの収支が悪化。黒字の高速バスが赤字路線バスを支えるという構図が崩れ、減便など合理化が避けられなくなったためだ。加えて、民主党中心の新政権は高速道の原則無料化を掲げており、事業者側は猛反発。「生活の足として確立した路線バスの廃止もあり得る」と警鐘を鳴らす。
新築工事が所々で進む福岡県小郡市の新興住宅地。ここと近隣の駅*1とを結び1日16往復(平日)走っていた西日本鉄道の子会社の路線バス「希みが丘」線が1日、廃止となった。乗客が少なく、年間1千万円近い赤字を計上。数年前から廃止対象に挙がっていたという。
区長の秋田宏司さん(68歳)は廃止決定を知った8月上旬以降、「通院しづらくなる」と訴えるお年寄りなどの声をバス会社側にぶつけ、「朝と夕方だけでも残せないか」と直談判した。だが、かなわなかった。
廃止から間もなく、「1,000円高速」による収支悪化に伴う、西鉄の緊急合理化策を知った。28日から、福岡都市圏の31路線で1日最大約140便減らすという内容だ。
「ぼくらのようなことが、これからもっと増えるのでしょうか」。企業の論理も分からないわけではないが、秋田さんにはやるせなさが残る。
西鉄のバス事業は近年赤字が続き、2009年3月期は約27億円の営業赤字だった。今期は「1,000円高速」でお盆期間中の高速バス収入が2割近く減るなど、さらなる収支悪化は必至だ。
さらに、新政権が打ち出す高速道無料化と、ガソリン税などの暫定税率廃止。実現すれば、合わせて約20億円の経費削減が期待できるが、一方で大幅の乗客減により「収入半減もあり得る」と西鉄は危機感を強める。
このため、秋の大型連休(シルバーウイーク)期間の19日から5日間は、「1,000円高速」に対抗して福岡〜小倉など高速5路線で最大38%の値下げを試行。「昨秋の連休に比べ若干の乗客増」(広報室)だが、起死回生の増収策ではない。
西鉄は、赤字路線の廃止や、営業所の削減を含めた追加の合理化の検討も急ぐ。福岡市内の観光地を周遊するバス「ぐりーん」も、導入1年にもかかわらず廃止候補に挙げられている。「自治体の補助金で、せめて収支をトントンにしてくれればいいが、自治体も赤字だから難しい」と西鉄幹部。
「(高速道の)無料化施策に民間の事業者は太刀打ちできず、競争の土俵にも上がれない」。九州バス協会の竹島和幸会長(西鉄社長)は10日、国土交通省に出向き、バス会社の体力では赤字路線維持に限界があると警告した。同協会関係者によると、バス事業者の中には値上げを検討するところもあるという。
民主党支持の労組も、運転手が職場を失いかねない事態に「職場と雇用を守るため、国として何らかの手だてが必要だ」(日本私鉄労働組合九州地方連合会)と訴え、業界や労使あげての無料化反対の動きが活発化してきた。
無料化は、都市部に比べて通行量への影響が比較的少ない九州などで先行実施される、ともささやかれる。あるバス会社の中堅社員は「どこまで合理化をしなければならないのか分からない。正直、バス事業はやっていけるのだろうか…」と不安を吐露した。
(2009年9月23日=西日本新聞

*1:希みが丘1〜6丁目は、JRけやき台駅から徒歩10〜20分。1日16往復しかなかったということは、大半の人は車なり自転車なり徒歩なりでJRけやき台駅まで出ていたものと思われます。