湘南モノレール過走

少しタイミングがずれていたら、衝突していたでしょうね。

24日9時55分頃、湘南モノレール西鎌倉駅で、大船発湘南江の島駅行き下り列車(3両編成)がホームの停止位置を約40m行き過ぎて停車した。同モノレールは単線で、駅構内ですれ違う方式。対向してきた湘南江の島発大船駅行き上り列車(同)が約15m手前で緊急停止し、乗客・乗員計18人が約1時間にわたって車内に閉じこめられた。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は調査官2人を派遣した。
湘南モノレールによると、オーバーランした下り列車の男性運転士(37歳)は「ブレーキが利かなかった」と話しており、ブレーキ故障が原因とみられる。停止したのは単線区間に入る直前だった。
一方、上り列車の運転士によると、上り側の信号は進入可能の表示(黄色)だったが、下り列車に気付き、ブレーキをかけたという。同調査委員会は事故につながりかねない「重大インシデント」として調査を始めた。
同モノレールは高架レールに車両をつり下げて走行するタイプで、大船駅湘南江の島駅間の約6.6kmを結んでいる。上り列車に閉じ込められた乗客は、備え付けの脱出シュートや消防のはしご車などで約4メートル下の県道に脱出した。
(2008年2月24日=毎日.jp)

<2008年3月1日追記>
メーカー側に原因*1があるように思えてなりません。

湘南モノレールは1日、当該車両(3両編成)のディスクブレーキのディスク24個すべてに、各1〜3カ所の亀裂があったことを明らかにした。同型車両では同種事例がなく、事故原因の可能性がある。
1日に記者会見した前田克彦社長と森川淳二技術部長によると、ディスクはドーナツ形で、直径41cm、中の空洞部分の直径は19.5cm。厚さ1.6cm、重さ11.2kgの鋳物製。作動させるとブレーキパッドがディスクに押しつけられて、車輪の回転が停止する。見つかった中には内側から外側まで通じている亀裂もあった。
オーバーランした5000系は同社に2編成しかなく、2004年6月から運行している1編成は、3カ月ごとの分解点検で亀裂が見つかったことはない。亀裂のあった車両は2007年12月に導入され、4日に初の分解点検を受ける予定だった。
(2008年3月1日=毎日.jp)

<2008年7月22日追記>
信じられない事象ですが、このとおりだとすれば、ディスク破損についても説明がつきます。

事故車両の制御装置が誤作動していた可能性があることが22日、分かった。事故後の調査で、非常ブレーキが作動した状態では電源が切れ停止するはずの駆動用モーターが動こうとする現象が確認された。同社や国交省航空・鉄道事故調査委員会は誤作動の原因を調べている。
同日、同社が調査状況について中間発表した。事故当時、仮にこの誤作動が発生していた場合、運転士は非常ブレーキをかけていたものの、同時に車両のモーターが動き加速しようとしていたことになるという。同社は誤作動について「設計上、あってはならないこと。想定外だ」と話している。
また、運転士が「ブレーキが動かなかった」と話していた点について同社は「70km/hで走行していた車両が20km/hほどまで減速しており、(車両のブレーキディスクは破損していたが)ブレーキは正常に作動していたのではないか」と説明している。
事故車両は運転席のハンドルを前に倒すとブレーキがかかり、後ろに引くと加速する。ハンドルを動かすと車両制御装置に信号が送られる構造で、同社は何らかの原因で誤った信号が出ているとみている。
今年5月19日、走行試験の準備のため、修理が完了した事故車両を車庫線で走らせようとしたところ、この現象が生じた。誤作動は30回に1回程度の割合で発生するといい、これまでに数十回確認されたという。
この誤作動は事故車両と同型の別車両では確認されていない。7月に入り実施した事故車両の走行試験では誤作動は発生しなかった。
(2008年7月22日=カナロコ

<2009年6月26日追記>
通常の鉄道車両だとTEボタンがあったりするのですが、何もなかったのでしょうか。

運輸安全委員会は26日、加速や減速を制御するコンピューターの誤作動が原因と推定する調査報告書を公表した。
事故直後の調査では、ブレーキディスクと呼ばれる円状の金属部品24枚のすべてが破損していたことから、ブレーキの故障が原因とみられていた。実際にはコンピューターの誤作動で、前駅を出てから急加速を始め、減速する操作をしても加速が止まらなくなっていたことがわかった。無理にブレーキをかけたため、ディスクが壊れたとみられる。
誤作動の原因は、電流を調整する装置が発するノイズ(電磁波)が取り除けず、回路を伝って加速や減速を制御するコンピューターに入り込み、加速し続ける指示を出す状態になったとみられる。
この結果、列車は西鎌倉駅を20〜30km/hで通過後、上下線のレールが合流する分岐器に衝突して止まった。対向列車(乗員・乗客18人)が19m手前まで迫っており、正面衝突の恐れもあった。
報告書は、ノイズ対策の徹底やトラブルをカバーできるシステムの構築、速度が制御できなくなったら直ちに列車を停止させる措置をとることの重要性を指摘した。
(2009年6月26日=asahi.com

*1:ディスクの材質を変えたとか、鋳造工程に問題があったとか、締め付けトルク過大とか。