運転士ら54人書類送検へ

運転士はともかく、他の社員が有罪になる可能性はあるのでしょうか。

愛知県蒲郡市JR東海道本線で警報機に「こしょう」(故障)と表示された踏切に女性(当時69歳)が入り、電車にはねられて死亡した事故で、県警交通指導課と蒲郡署は26日午後、電車の運転士(31歳)と踏切や列車の運行を管理していた社員4人を業務上過失致死の疑いで、女性を鉄道営業法違反(鉄道内立ち入り)の疑いで、それぞれ書類送検する。
JR東海の5人は「社内の運行規則通りに業務した」と供述し容疑を否認している。県警は「起訴相当」の意見はつけずに送検する。
事故は昨年3月19日17時20分頃に起きた。強風のためダイヤが乱れ、15分以上遮断機が下りっぱなしになり「こしょう」表示が点滅。女性はそれから15分ほど経過した後線路内に入ったらしい。事故直前に別の電車が通過し表示が消えなかったため、女性は警報機が故障したと勘違いしたらしい。
調べでは、運転士は女性が線路内に入っているのに気づくのが遅れ、電車ではねて死亡させた疑い。県警は運行を管理していた社員に法令違反がないか調べるためJR東海の関連部署などを家宅捜索。資料などを分析してきた。その結果社員4人は「こしょう」の表示が出てから歩行者が線路内に進入する危険を回避する対処を怠ったと判断した。しかし社内規定に著しく反するような行為が認められず起訴相当の意見はつけなかった。「こしょう」の表示については直接過失を問わない。
女性は遮断機が下りているにもかかわらず線路内に入ったことが違法とされた。直前に孫に制止されていた。女性の遺族はJR東海に対して民事訴訟を起こす準備を進めているという。
遮断機が一定時間下りたままだと「こしょう」と表示されるシステムは国鉄時代から数十年間続いていた。東京都大田区のJR京浜東北線で2005年10月、同様の事故があり女性2人が死傷した。紛らわしいため事故を誘発するとの指摘を受けJR東海は昨年5月から、遮断機が長時間下りたままになった時に「通行しゃ断中わたらないで他へお回り下さい」と表示する装置設置を同社管内の1,900カ所余の踏切に進めている。
(2007年2月26日=中日新聞