トランスラピッド保守用車と衝突

ドイツ北西部ラーゼン(Lathen)で22日、試験走行中の「トランスラピッド(Transrapid)」が点検用車両に衝突、少なくとも23人が死亡、10人が負傷した。事故当時、リニアモーターカーには29人の搭乗者があり、衝突時はコンクリート製の高架を約200km/hで走行していた。
(2006年9月23日=AFP)

<2006年9月24日追記>
いくら実験線といえども、管制センター職員のヒューマンエラーごときで、衝突されちゃ困るんですが。

地元ニーダーザクセン州検察の報道官は23日、事故当時、実験線上に点検用車両がいたことを示す運行管制センターの記録があると述べ、同センターが適切な指示を怠った人為的ミスが原因との見方を示唆した。報道官は、こうした記録がありながら、なぜリニアの発車を許可したのかといった点を中心に運行記録などを調べていると説明。また、管制センターから点検用車両が肉眼で見えた可能性があるとも指摘した。報道官は「管制センター職員は、点検用車両が軌道から離れたことを確認した上でリニアの発車許可を出すことになっている。なぜ発車させたのかという疑問への説明が必要だ」と述べ、リニア実験線運営会社の安全対策に問題があったとの認識を示唆した。
(2006年9月24日=共同)

<2006年9月29日追記>
高速鉄道の運転士に前方注視義務を負わせるのは、拙いでしょう。

トランスラピッドの運転士が、22日の事故当時の気象条件では約3km先が目視可能だったにもかかわらず、高速走行を開始した地点から直線に伸びる軌道上の約2km先で待機していた工事車両を確認できず、そのまま走行。直前で急ブレーキをかけたが間に合わなかった。専門家によると170km/hで走行中に急ブレーキをかければ、約1km先で停止できるという。
また、運営会社IABGが、現場から「工事車両にも安全対策を施すべきだ」との提案を受けながら、衝突防止装置など安全策を実施しなかった。同社は「監督官庁である州に認めてもらえなかった」と釈明している。
地検は指令センターと両車両との通信記録テープ8本を押収したが、テープ、録音機とも実験走行を開始した1980年代から繰り返し使われて老朽化しており、会話が途切れ途切れに録音されているものもあった。実験走行を記録する日報はA4用紙に手書きするもので、独メディアは「最先端技術に時代遅れの記録」と驚いている。
(2006年9月29日=MSN-Mainichi)